さくらがみ 【桜紙

▼ 薄く柔らかな小判のちり紙。マニラ麻などから抄造する。もと、故紙からの再生紙。

◆ 女は帯の間から桜紙をとり出し、それを唇でとって洟(はな)をかんでから、銀杏返しの両鬢をぐっと掻き上げた頸筋にだけ白粉の残っている横顔を伏せ、巻莨(まきたばこ)をすい始めた。(宮本百合子『帆』)

040315[〈渡辺ひろ乃の快感旅行-BBS〉]
◇ 大昔一度だけ芸者さんとお手合わせした時、彼女が桜紙で始末してこっそりしまっていたのを思い出しました。今は、ティシュでサッサでポイ!
www1.rocketbbs.com/410/hir0n0.html

040315[詰め紙〈吉原YY広場-下ネタ・エッセイ〉]
◇ このスポンジ玉の原型は、すでに江戸時代初期の頃からあったようだ。〈詰め紙〉と呼ばれるもので、柔らかい和紙をピンポン玉ぐらいの大きさに丸めて膣の中に押し込むのである。 / これは、俗に〈上げ底〉とも称され、大正から昭和の初め頃まで、主に遊廓の女性たちの間で使用されていた。桜紙を丸めて膣内に詰めるのだが、その目的は生理の他に、妊娠を防ぐためのものでもあった。つまり、膣の奥に紙を詰めておくことで、精子が子宮内に達するのを阻止したのだ。いわば、タンポン兼ペッサリーの代用品というわけである。
ttp://www.y-yy.com/page9.htm

040315[卒業式の花〈総合的な学習WEB-今どきの小学生 〉]
◇ 卒業式に使う桜紙の花を作っていました。「一人4つノルマだよ。」 みんな集中して作っています。
www.ne.jp/asahi/sougou/gakushu/shou/shou3/03shou3.htm

040315[〈children's world -あそび〉]
◇ 手首に色別の京花(桜紙で作った花。よくありますよね。あ、選挙の時に名前の上に貼られるあれです。)をつけて、
www.kt.rim.or.jp/~drkato/open/asobi/anser1.html

040315[坂本冬美「夜桜お七」の歌詞〈朴斎主頁-朴斎雑志〉]
◇ 坂本冬美のヒット作「夜桜お七」は、作詞が歌人の林あまりということでも話題を呼んだ、日本的情念あふれる名作である。 / ところがこの歌にはただ一箇所だけ外来語が使われている。「ティッシュをくわえ」というくだりである。それもスピードが落ちて伴奏も消える聞かせどころに出てくるのである。これが私にはどうも引っかかって仕方がない。なるほど紅をひいてティッシュをくわえるシーンはえもいわれぬ色気を醸し出すものではあるが、しかしお七にティッシュではやはりそぐわない。歌がここに来るたびに、どうして歌人ともあろう人が……と首をかしげるのである。 / とはいえ冷静に考えて見れば、「ティッシュ」の代わりに「ちり紙」や「鼻紙」では品がなさすぎるし、さりとて「桜紙」では「さくら」があまりにもしつこくなりすぎる。だから林あまり氏にとってもこれは苦渋の選択だったかもの知れない。それでももう少し何とかならなかったものかと、私はこの歌を聞くたびに残念に思うのである。
www.hmt.toyama-u.ac.jp/chubun/ohno/zassi1-3.html

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したん 【紫檀

▼ マメ科の常緑小高木。唐木の一。インド南部原産。高さ約10メートル。葉は羽状複葉。花は黄色の蝶形花。辺材は白色、心材は暗紫紅色で、質硬く、木目が美しいので、床柱や家具に用いる。熱帯各地に産する類似の材をも紫檀材と呼ぶことがある。朱檀(しゆだん)。ローズウッド。

◆亦と類なき奇石であつたので、雲飛先生涙の出るほど嬉しがり、早速家に持ち歸つて、紫檀の臺を造(こしら)え之を安置した。(国木田独歩 『石清虚』)

◆唐獅子を青磁に鋳る、口ばかりなる香炉を、どっかと据えた尺余の卓は、木理(はだ)に光沢(つや)ある膏(あぶら)を吹いて、茶を紫に、紫を黒に渡る、胡麻濃(こま)やかな紫檀である。(夏目漱石 『虞美人草』)

◆それから廊下に接した南側には、殺風景な鉄格子の西洋窓の前に大きな紫檀の机を据ゑて、その上に硯や筆立てが、紙絹(しけん)の類や法帖と一しよに、存外行儀よく並べてある。(芥川龍之介 『漱石山房の秋・漱石山房の冬』)

◆ この霜夜に、出しがらの生温(なまぬる)い渋茶一杯汲んだきりで、お夜食ともお飯(まんま)とも言い出さぬ。座敷は立派で卓は紫檀だ。火鉢は大きい。が火の気はぽっちり。(泉鏡花 『眉かくしの霊』)

◆ いつも使っていない二階は不思議な一種の乾いた匂いが漂っていて、八畳の明るい座敷の方から隣の小部屋の一方には紫檀の本箱がつまっていて、艷よく光っていた。森閑としたなかでそうやって光っている本箱はやはりこわさを湛えていて、おじいさまの御本だよ、と云われても凝っと祖母の腰によりそって遠くから見るだけだった。(宮本百合子 『祖父の書斎』)

040315[〈全国有名仏壇店ネット-お仏壇の材質〉]
◇ 紫檀は高級な仏壇の材質として使われます。最近では黒檀よりも紫檀のほうが明るい色合いなので居間などに置く場合は好まれています。紫色の上品な色合いが特徴ですがこれは製造過程で塗装をほどこされますのでメーカーによって色合いが微妙に異なります。
www.zenbutu.com/zaishitsu/shitan.htm

040315[四十九日〈おぜき家-しのぶの戯れ事〉2003.6.29]
◇ 法要が終わって変わったのは、位牌が白木の仮位牌から本位牌になったこと。素材は紫檀。ちょっと赤みがかかったかわいい位牌です。とりあえず仏壇も無し。
www6.airnet.ne.jp/~ozeki/zare/0306.html

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しっくい 【漆喰

▼ 〔「石灰」の唐音。「漆喰」は当て字〕消石灰にふのりや角叉(つのまた)などの粘着性物質と麻糸などの繊維を加え、水でよく練り合わせたもの。砂や粘土を加えることもある。壁や天井などを塗る。「―天井」

040316[<須玉町歴史資料館-旧津金学校>]
▽ 漆喰は、石灰に海草糊やスサ(麻の繊維や紙などを細かく切ったものまたは川砂)を混ぜてペースト状にしたものです(コテで押さえて仕上げる)。石灰はカキの貝殻などを粉にしたものを混ぜたようですが、現在の漆喰は化学糊を使いるものもあります。むかしの左官はそれぞれの材料を混ぜて漆喰を調合しました。
www.sutama.ed.jp/museum/school/gakkou/shikkui.html

◆ 彼が一軒の家をじっと見ている中に、その家は、彼の眼と頭の中で、木材と石と煉瓦と漆喰との意味もない集合に化けてしまう。(中島敦 『文字禍』)

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じゅうそう 【重曹

▼ 重炭酸曹達(ソーダ)の略。加熱すれば二酸化炭素を放出するのでふくらし粉として用いる。炭酸水素ナトリウム。

◆主人はいつも御酒(ごしゅ)を頂きますたんびに重曹と、酒石酸を用いましたので……そうしないと二日酔をすると申しまして、(夢野久作 『無系統虎列剌(コレラ)』)

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ジュラルミン 【duralumin

▼ アルミニウムに銅・マグネシウム・マンガン・ケイ素などを混ぜた合金。軽量で強度が大きいため、飛行機・建築などの材料にする。

040314[〈化学同人-週刊語源ものがたり〉2003.9.2]
▽ この語の由来には二つの説がある.その一つは,製作所のある西ドイツの町 Düren と aluminum とから合成されたとするもので,Duren はケルン(Köln)とアーヘン(Aachen)の中間にある,人口5万程度の工業都市である.もう一つの説は,ラテン語のdurus(硬い)という,英語のdurableにも関連する単語とアルミニウムとからの合成語と考えるもので,どちらの説ももっともな気がする.
www.kagakudojin.co.jp/gogen/gogen2/030902.html

040314[〈一日1題、技術士(金属)試験問題にチャレンジしよう!〉2004.2.29]
◇ ジュラルミンって言葉は日常生活の中でも聞いたことがありますよね。『軽い』とか『丈夫』とか『飛行機』とかのキーワードが思い浮かびませんか。 // 生まれは結構古く、1906年にドイツのA・ウィルムが時効硬化の発見と同時に発明しました。鋼と同等の強さをもち、重量は3分の1程度という驚異の合金です。
blog.melma.com/00110416/20040229065208

040314[ジュラ電〈航空雑用辞典〉]
◇ 【ジュラ電】 第二次大戦終戦直後に登場したジュラルミン製車体の電車。航空機メーカーに大量にストックされていた航空機用ジュラルミン材が市場に放出され、様々な用途に用いられた、そうしたもののひとつ。通勤型電車の原型といわれる国鉄ロクサン形(63系)電車の一部がジュラ電だった。
www1.sphere.ne.jp/mia/aviation_dic/html/update.html

040314[競走馬の蹄鉄〈装蹄師を目指せ!-Q&A〉]
◇ 競走馬ではアルミ(アルミ合金、ジュラルミンを含む)が用いられるのは、蹄鉄を軽くした方が速く走れるためです。しかし、アルミは耐久性(対摩耗性)が低いので2週間に1度蹄鉄を付け替える競走馬だからこそ用いられると言えます。一方、乗馬の場合は改装が約1ヶ月なので、耐久性を強くするために鉄製の蹄鉄を用います。馬の使い方にもよりますが、常識的な使い方であれば約1ヶ月もちます。
s0ze.tripod.com/soutei/faq2.htm

040314[三億円事件三十周年〈putaro.net-天声人語〉1998.12.9]
◇ 「3億円事件」と聞いてすぐわかる人は、40歳以上だろうか、45歳から上だろうか。なにしろ、あれから30年もたつのだ。 / 1968年(昭和43年)のあす、12月10日午前9時20分ごろ、事件は起こった。東京都府中市の府中刑務所わきの路上で、白バイ姿の男が日本信託銀行国分寺支店の現金輸送車を止め、車を奪って逃走した。車はあとで見つかったが、ジュラルミンケース3個に詰めてあった現金2億9434万1500円が消えていた。 / 東芝府中工場の従業員4523人分のボーナスだった。銀行振り込みが一般化していない時代である。1人分ずつ、「賞与」と印刷された茶封筒に入れてあった。単純計算すれば、1人6万5000余円になる。
www.putaro.net/gv_98/GV_9812.htm

040314[隠れたヒット商品〈アルミニウムコラム〉2001.12.28]
◇ 現金輸送にジュラルミンケースは定番アイテムだ。 かつての3億円強奪事件の時に有名になったね。一体全国の金融機関の間でどれほどのケースが使われているのだろうか。隠れたアルミヒット商品だね。
www.ne.jp/asahi/aluminium/mania/al_column/al_colum_main0112.htm

040314[リモワ社のスーツケース〈JapanBag.com-BBS〉]
◇ 私のリモワについて最初に声をかけてくれたのはタクシーの運転手でした。彼曰く「お、そのカバン、3億円入ってるんか?」 …年配の方にしてみれば「ジュラルミンケース」=「3億円事件」なんですね。ヤングエグゼクティブどころか、3億円事件の犯人にされた私でした。
japanbag.com/resource/bbslog/bbs_log51.htm

040314[テレビ塔からドル紙幣ばらまく〈日経新聞〉2003.12.23]
◇ 23日午後5時15分ごろ、名古屋市中区錦3の「名古屋テレビ塔」の展望台で、岐阜市の無職男性(26)が鉄格子の間から1ドル紙幣などを路上にばらまいた。職員が男性に気づき愛知県警中署員に引き渡した。男性は「総額で約100万円をまいた。株で大もうけしたので、世間に還元したかった」と話しているという。 // 男性を展望台で最初に発見した名古屋テレビ塔事業推進本部の男性職員(43)によると、この男性は銀色のジュラルミンケースやサンタクロースが持つ白いパーティーグッズ用の布袋などに紙幣を入れて、イスの上に立って高さ約2メートルの金網から紙幣を地上にばらまいていた。
www.nikkei.co.jp/news/shakai/20031223AT1G2300V23122003.html

040314[〈Syuugoroの人生論-全共闘世代は今日も行く〉]
◇ 東大・日大闘争に端を発した全共闘運動ははしかの様に全国に拡がった。そして同志社大学も全学バリケード封鎖という事態となった。しかし想像がつくようにオーケストラの兵隊は軟弱である。百人いるクラブ員の中で7人ほどが学生運動に参加したが1人減り、2人減りして結局残ったのは僕と後輩が1人だけ。別に喧嘩したわけでもない。みんな気持ちはあっても身体がついてこないのだ。デモに出れば牛の様に大きな機動隊がジュラルミンの盾を持って狩りを楽しむハンターの様に襲いかかって来るのだから。
www.geocities.co.jp/HeartLand-Namiki/4207/jibunshi.htm

040314[〈ERiX-Press-日本国青春虫瞰図〉]
◇ 一月二十日、東大入試中止が正式に決定された。その結栗、我々は何の考えもなしに京大受験へと流れたのである。机やイスが積み上げられた京大の門や時計台上の旗は我々に十分に時代を実感させた。入試はバリケード封鎖中の京大構内を避け、機動隊のジュラルミンでやっと人一人通れるほどに仕切られた細く長い道の果てに正門に辿りつく某女子大で実施されたが、幽閉への道を歩いているような重苦しさが漂っていた。
www.erix.com/bunko/seisyun/seisyun01.htm

040314[ジュラルミンのイメージ〈アルミニウムコラム〉2002.2.20]
◇ ジュラルミンのイメージ。弁当箱、機動隊の盾、現金輸送トランクケース。こんなトコか。
www.ne.jp/asahi/aluminium/mania/al_column/al_colum_main0202.htm

040314[〈Mainichi INTERACTIVE〉2002.3.28]
◇ 警察庁は28日、サッカー・ワールドカップ(W杯)で、フーリガンなどの暴徒を鎮圧するために使用する機動隊の新型個人装備品(ヘルメット、プロテクター、透明盾)を公開した。 / 新兵器は、強化プラスチック製の透明盾。従来のジュラルミン製と違って、死角がなくなり、相手の動きが見やすい。
www.mainichi.co.jp/entertainments/sports/worldcup/worldcup/0203/28-2.html

040314[ジュラルミンの弁当箱〈宮城の団十郎-団塊世代のメモリーズ〉]
◇ 俺の弁当箱も筆箱も下敷きも、全部「ジュラルミン」でできていた。そのジュラルミン弁当の真ん中に梅干しを入れていくと、梅干しの周りのご飯の色が、ジュラルミン色(鉛色)に染まっていた。
ha6.seikyou.ne.jp/home/danjuro/memory.html

040314[重兼芳子の『ジュラルミン色の空』〈Takemaのあっちこっち旅日記-NZワーホリ日記〉1989.7.3]
◇ 夜、Cathedral Square 近くの図書館で日本語の本を二冊借りる。とはいってももともと日本語の本は二冊しかなかったのだ。その日のうちに全て読み終えてしまった(「ジュラルミン色の空」「猿丸幻視行」)。
achikochi.cool.ne.jp/nzdiary-3july.htm

040314[東京の空〈かべあなわる〜ど-ねごとのつづき〉2002.8.6]
◇ コンクリートで固められた街を覆う、ジュラルミン色の空。電車の昇降口からわき出る疲れた顔つきの人々。
www5.tiki.ne.jp/~waiwai/negoto/negoto208.htm

040314[さんまのはらわた〈B-semi-掲示板句会〉2003.9]
◇ ジュラルミン色した、海のミサイルのような秀麗さの中には、あのドロドロが。それが旨い。
homepage1.nifty.com/B-semi/kukai/039.htm

040314[ネーミングのよさ〈アルミニウムコラム〉2001.3.37]
◇ 私個人的にはアルミ200年の歴史では『ジュラルミン』と言うネーミングがNO.1のブランドと思うのですがいかがでしょうか。一般的な知名度、語質感などで群を抜いております。そして次点は『アルマイト』を掲げたい。
www.ne.jp/asahi/aluminium/mania/al_column/al_colum_main0103.htm

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しょうのう 【樟脳

▼ テルペン類の一種。化学式 C10H16O クスノキの根や枝を水蒸気蒸留して得る無色透明の結晶。水に難溶、有機溶媒に可溶、特有の芳香をもつ。テレビン油から合成され、医薬品・香料・殺虫剤・防臭剤などに利用する。医薬分野ではカンフルという。

◆ 御顔に匂いかかる樟脳の香を御嗅ぎなさると、急に楽しい追憶(おもいで)が御胸の中を往たり来たりするという御様子で、(島崎藤村 『旧主人』)

◆ こんな話をしているうちに、聯想は聯想を生んで、台湾の樟脳の話が始まる。樺太のテレベン油の話が始まるのである。(森鴎外 『里芋の芽と不動の目』)

◆ すると樟脳や匂袋の香りと一緒に、長らく蔵(しま)われていたものの古臭いような、それでいて好もしい、匂いも錯(まじ)って鼻を打ってくるのでした。(鷹野つぎ 『虫干し』)

040315[〈狭辞苑-楠木〉]
◇ 僕の子供のころ、家に楠木で造られている大きな長櫃があった。大人が2,3人は入れるだろう大きさだった。樟脳の匂いがほのかにしたのを憶えているような、いないような。
www.h6.dion.ne.jp/~kyoujien/kyoujienkako.html

040315[〈木の工房KAKU-diary〉2001.1.17]
◇ クスノキを加工すると、アトリエ中が樟脳のにおいで一杯になる(香りというよりにおい)。狭いから半端ではない、鼻詰りも一発で治るぐらいの勢い。
www.kinokoubou.com/contents/diary/0112.html

040315[カフェレストラン樟脳〈京大生協-ひとことオンライン〉2003.4.23]
◇ 正門の側にできるカフェレストランの名前が決定したという掲示を見て、大変 驚きました。クスノキの学名から取って "Camphora" とのことですが、これはタンス等で虫除けに使う「樟脳」を意味する語です。名前を決定された方々はこのことをご存じなかったのでしょうか。レストランの愛称が防虫剤の名前なのは正直キツイです。防虫剤の臭いの漂うレストランという雰囲気がしませんか。
hawk.kyoto-bauc.or.jp/cgi-bin/kyodai/hitokoto/hitokoto.php?mode=read&id=316

040315[圓生の『樟脳玉』〈kyoto-u.com -正門カフェレストランの名前は「樟脳」!〉]
◇ えー、ェーッ『樟脳玉』と言う、もう、アーッお古いお噺でございますが。えー玩具なぞでも、ァーッ昔と、只今とでは、ァー色々違って参りまして、えー樟脳玉と言う物を、縁日なぞで良く、売ってェおりましたもので。一名これを、ォー長太郎玉と言いまして、樟脳を丸めた物で、あゥーッ御案内の通りあの樟脳と言う物は虫よけになると言うので、えー箪笥の、ォッ引き出しのなぞへ良くお入れンなります。今の様に固形になっておりません粉で、これを柔らかい紙へ包みまして、えー箪笥の引き出しへ入れるあるいはまた、ァーッ、お人形、えーお雛様、なぞには、必ずこの、ォッ虫の付かない様にと言うので、樟脳を入れたもんでございますが
www.kyoto-u.com/lounge/discuss/html/200305/03050016.html

040315[『樟脳玉』〈物語要素事典-人魂〉]
◇ 『樟脳玉』(落語)  最愛の妻を亡くして悲しむ男から金品を騙し取ろうと、悪人が樟脳玉に火をつけて人魂を作り、男に見せ、「おかみさんの念がこの世に残っているから、何か寺に供養するのが良い」と勧める。男は、それなら亡妻が大事にしていた雛人形を納めようと、箱のふたを開けて「ああ」と嘆声を発する。「女房は、このお雛様に思いを残していたのだ。魂の匂いがする」。
www.aichi-gakuin.ac.jp/~kamiyama/hi.htm

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シリカゲル 【silica gel

▼ ケイ酸のゲルで、半透明の白色の固体。吸着力が強く、乾燥剤などに用いる。

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しんしゃ 【辰砂

▼〔中国の辰州で産する砂の意〕(1)水銀の硫化鉱物。六方晶系。結晶片は鮮紅色でダイヤモンド光沢がある。多くは塊状または土状で赤褐色。低温熱水鉱床中に産し、水銀の原料、また、朱色の顔料として古くから用いられてきた。有毒。朱砂。丹砂。丹朱。
(2)陶磁器で、銅を発色剤として高温で焼成して形成された鮮紅色のガラス質の膜。辰砂釉(しんしやゆう)

040316[<鉱物たちの庭-ギャラリー>]
▽ 辰砂は、別名、丹砂ともいう。丹とは赤い色を指し、また道教に謂う不老長寿、神仙薬をも指す。この鉱物は、かつて羽化登仙の霊薬として珍重されたのである。 // 因みに、辰砂の成分は水銀と硫黄だが、この二つは、中世西欧化学の元祖であるアラビア錬金術において、あらゆる物質の起源たる二つの元素として知られていた。
www.asahi-net.or.jp/~jm9n-ymkw/mine/gallery2/082cinb.html

040316[朱墨<奈良製墨協同組合-奈良の墨づくり>]
▽ 朱墨の原料となる朱は、辰砂(しんしゃ)、丹砂(たんしゃ)と呼ばれ、鉱産物として天然に採掘される貴重品でありました。朱は、水銀が硫黄と反応して化学変化を起こし生ずるもので、硫化第2水銀(HgS)の元素記号をもっています。古くは朱は丹と呼ばれ、万葉集に「青丹よし奈良の都は 咲く花の・・・・」とうたわれた天平時代の平城京の建物や寺社はその柱に丹(朱)がみごとに塗られ、朱色鮮明、輝くばかりでした。また朱は、防腐にもすぐれ、古代中国や我国の貴人の墳墓から大量に朱が発見され、朽果てることのない永遠の世界を演出する貴重な材料でもありました。
www.sumi-nara.or.jp/narasumi5.html

◆ 面とりといふ――李朝期の壺や瓶に多いが、六面か八面に面を切り落して角度をつけ裝飾してゐる。それだけでいゝのだが、そこに或はゴスで、或は鐵(黒)や辰砂(赤)で下繪をつけて裝飾してゐる。(小野賢一郎 『やきもの讀本』)

◆ 兄の鞆之助は雪子の部屋へよく遊びに来た。雪子が部屋の周囲に、蔵から出して来た、真(ほん)ものゝ植物以上に生々と浮き出てゐる草花が染付けられてゐる鉄辰砂(しんしゃ)の水差や、掌の中に握り隠せるほどの大きさの中に、恋も、嘆きも、男女の媚態も大まかに現はれてゐる芥子人形や、徳川三百年の風流の生粋が、毛筋で突いたやうな柳と白鷺の池水に彫(きざ)み込まれた後藤派の目貫きのやうなものを並べて、(岡本かの子 『過去世』)

040316[伊勢水銀の里・丹生<三重県教育文化会館-三重の歴史をあるく>1981.4]
◇ 「丹生」とは、丹砂(朱砂・辰砂ともいわれ、水銀(Hg)の原鉱石である硫化水銀(HgS)のこと)を生ずる意味である。 / また、特殊な採鉱民としての一族丹生氏の活動と関連づけ、その植民的進出の跡とみることもできる。丹生神社の祭神である丹生都比売(ニウズヒメ)は、丹砂を掌る女神であるとともに、丹生氏一族の氏神でもあったといわれる。
www.mie-kyobun.or.jp/Tayori/Rekishi/Rek041.htm

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しんちゅう 【真鍮

▼ ⇒黄銅(おうどう)

◆ それではさよならといつて、/ めうに真鍮の光沢かなんぞのやうな笑(ゑみ)を湛(たた)へて彼奴(あいつ)は、/ あのドアの所を立ち去つたのだつたあね。(中原中也 「秋」『山羊の歌』)

◆ しまいに肩にかけた箱の中から真鍮で製らえた飴屋の笛を出した。(夏目漱石 『夢十夜』)

◆ 車の背後の窓の外に、横に打ち附けてある真鍮の金物に掴まって立っていると、車掌が中へ這入れと云う。(森鴎外 『青年』)

◆ 真鍮は真鍮と悟ったとき、われらは制服を捨てて赤裸(まるはだか)のまま世の中へ飛び出した。(夏目漱石 『京に着ける夕』)

◆ 彼女は自分の前に置かれた桐の手焙(てあぶり)の灰を、真鍮の火箸で突ッつきながら、(夏目漱石 『硝子戸の中』)

◆ 真鍮製の大根オロシとの結婚、木製バイオリンとの結婚、石油コンロ、洋服箪笥との結婚等の傾向を示すだらうこと明らかであつて、(小熊秀雄 「一婦人の籐椅子との正式結婚を認めるや否や」『諷刺短篇七種』)

◆ それは真鍮製のかなり頑固な洋式の把手で、鍵穴の附いた分厚い真鍮板が裏表からガッチリと止めてある。(夢野久作 『巡査辞職』)

おうどう

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スレート 【slate

▼ (1)粘板岩の薄板。石盤・屋根葺(ふ)き材料とする。
(2)セメントに石綿などを混ぜて(1)を模して作った板状のもの。屋根・天井・内装・外装に用いる。
(3)(1)のような暗い灰色。

040317[〈岡本工業所-屋根材の知識〉]
▽ 「スレート」は英語本来の意味から、粘板岩でできた屋根用の薄い板(天然スレート)を指します。しかし近年、ファイバーセメント製の屋根板が開発され、これを天然ものと区別すれば、いわば人造スレートです。ファイバーには代表的な石綿(アスベスト)や、特殊ビニロン線維などの有機線維があります。 // 「玄昌石(げんしょうせき)」という言い方は黒色スレートのみを指す場合があるので注意が必要です。硯や床材、高級墓石も同じ素材です。赤レンガのJR東京駅の屋根がこの材料で葺かれているのは有名です。数多くの施工例が見られるのはヨーロッパ、日本では宮城の雄勝(おかつ)、登米(とよま)などが産出地になります。
www.roofs.co.jp/okamoto/yane/chisiki/KAWARA/KAWARA4.HTM

040317[雄勝天然スレート〈四倉製瓦工業所〉]
▽ 明治、大正時代の西洋建築に使用された屋根材天然スレート(玄昌石)の産地宮城県雄勝町は江戸時代からの硯用の石が産出し、仙台藩(伊達)の『お止め山』として厳しく管理され、今でも日本の硯の90%以上も生産しています。明治19年「官庁集中計画」と呼ばれる東京パリ化計画が始まり多くの建築関係者がドイツに派遣されたその中の一人の篠崎氏がベルリンでヨーロッパの屋根材スレートの生産施工を学んで帰国後国内中探して明治21年雄勝の硯石がスレートと同じである事に行き当たりました。当時の西洋館北海道庁(赤レンガ)山形県庁(文翔館)東京駅舎、名古屋高裁、京都府庁舎、大阪中之島中央公会堂、山口県庁議会堂、九州は小倉の松本邸(西日本工業倶楽部)そして門司の三井倶楽部が現在重要文化財として雄勝天然スレートで修復されております。
www3.ic-net.or.jp/~kurasan/sureto.html

040317[繊維強化セメント板〈東京スレート株式会社〉]
▽ 紛らわしいことから現在では合成されたスレートを繊維強化セメント板と呼ぶようになっています。(JIS A 5430名称は繊維強化セメント板、業界団体名は、せんい強化セメント板協会となっています。)
www.mtk.co.jp/tokyoslate/product.html

◆ 海は真っ暗で、いつか大粒の雨がスレートの屋根に重い音を立てている。(松本泰 『暴風雨に終わった一日』)。

040317[スレート色〈仙台市科学館-ホニュウ類図鑑〉]
◇ 【ハツカネズミ】 毛は短く柔らかく、背面は灰褐色(はいかっしょく)。腹側は白く元の部分が淡いスレート色をしている。家屋、水田、畑、土手、草地、河川敷(かせんじき)、荒れ地、および砂丘などにすむ。
web.kagakukan.sendai-c.ed.jp/ikimono/honyu/mouse/06ph1.htm

040317[スレート色のウィーン〈The Beach -日記〉2001.9.25]
◇ 夕方、時間があったのでフンデルトヴァッサーの「KunstHaus Wien」と「Hundertwasser Haus」に行ってみる。スレート色のウィーンの中で、これらの建物は明らかに異質で、色にあふれている。
www.12kai.com/20010925.html

040317[熊本の温泉めぐり〈All about Japan -温泉マニア〉2001.4.10]
◇ 【不二の湯】 プレキャストコンクリート工場の中にある温泉。超秘湯的たたずまいが良い。外観はいまあまり見なくなった波型スレートの造りがB級の雰囲気を増している。
allabout.co.jp/travel/hotspring/closeup/CU20010410A/?FM=lt

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セルロイド 【celluloid

▼ セルロースの硝酸エステルである硝酸セルロース約75パーセントに樟脳約25パーセントを加え練ってつくったプラスチック。玩具・文房具・フィルム・眼鏡枠など日常生活に広く利用されたが、引火しやすいので、現在は他の合成樹脂にとって代わられた。

◆ ああ、Yちゃんのおもちゃだよ。鈴のついたセルロイドのおもちゃだよ。(芥川龍之介 『蜃気楼』, 1927)

◆ セルロイドの玩具や、硫酸の入つてゐた大きな壺や、ゴム長靴や肺病患者の敷用ひてゐたであらうと思はれる、さうたいして傷んでもゐない、茶色の覆ひ布の藁布団などに、老人夫婦は十日間程も熱心に鍬をいれてゐた。(小熊秀雄 『泥鰌』)

◆ たとへば、袋物工場に通つてゐた母親が、夜も休まず石油の空箱を台にして(その箱の隅には小さな蜘蛛が綿屑みたいな巣をかけてゐた!)セルロイド櫛に、小さな金具の飾をピンセットで挟み、アラビヤゴムと云ふ西洋の糊でつける仕事をしてゐる横に、新聞紙にくるんだ芋が置かれてある有様や、(武田麟太郎 『釜ヶ崎』)

◆ ロイドちうのは色男の事ぞ。舶来の業平さんの事ぞ。セルロイドと間違えるな。(夢野久作 『笑う唖女』, 1935)

◇ 青い眼をした/お人形は / アメリカ生れの/セルロイド // 日本の港へ / ついたとき / 一杯涙を / うかべてた // 「わたしは言葉が / わからない / 迷ひ子になつたら / なんとせう」 // やさしい日本の / 嬢ちやんよ / 仲よく遊んで / やつとくれ(野口雨情 作詞/本居長世 作曲「青い眼の人形」)

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