ひよこat 2003 12/09 17:58
親戚の結婚式のため福岡に行ったというひとが職場にいて、 福岡みやげに「ひよこ饅頭」をもらった。
わたしは人生の8割くらいを関東圏で過ごしてきたので、 「ひよこ」といえば東京みやげだと思いこんでいたのだが、 実は発祥の地は福岡なのだそうな。 このひよこ、そっくりないとこだか子孫だかがいる東京の地に、 はるばると飛行機で運ばれてきたわけだ。
同じプロジェクトの若い女性がこっそりメールを送ってきた。 「頂き物なので、下さった方には言えなかったんですが、 かわいい動物のかたちの食べ物って罪悪感があって食べられないんです。 動物パンも、家族が食べてるの見て泣いちゃったことがあるんです」
ううむ、それは、意外に難儀な性分かもしれない。 近頃はキャラクターを模したお菓子が平気で出回っていることだし。 そう返したら「キャラクターのは平気です。普通の動物がダメ」と。
なるほど。わかるような気もする。
キャラクターというのは、まあ、工業製品色が濃いというか、 記号っぽいというか、たしかにあまり「いきもの」という感じはしない。
ひよこ饅頭にしたところで写実的ではない。 (写実的だったらグロテスクで食べたくないかも・・・) でも、やわらかな、まあるい方向にデフォルメした形態が、 「いきものの、こども」全般を彷彿させるんだろうな。 記号に対しては抱かない罪悪感だの哀れみだのを感じる余地は あるのかもしれない。
「食べちゃいたいほど、かわいい」という表現があるが、 肉を食べる動物にとっては、かわいい存在は捕食の対象だ。 一方で、じぶんの種のかわいい存在(こども)は保護の対象だ。 「かわいい」は守るべき存在であると同時に、 容易に「おいしそう」に転化する要素をはらんでいるわけだ。
まるまっちくてかわいい「ひよこ」をぱっくりとひとくちで 飲み込んだわたしは、動物パンをいとおしむ彼女に比べると、 肉食度数が高いってことかもしれない。
とりあえず、しめしめ良いこと聞いちゃった、と思いつつ、 今後も彼女が誰かに「ひよこ」をもらうことがあったら、 秘密裏にもらいうける約束をとりつけた。ラッキー。
・・・彼女、鎌倉名物「鳩サブレー」は許容範囲かなあ。 念のために聞いておこうっと。
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